発売から40年、愛され続けて来た『冷凍うどん』にちなんで太く長く愛され続ける各界の著名人の皆さんに<愛される秘訣>を教えていただきます!

雄飛さんが、音楽と並んで深い思い入れを持つ〈食〉。そのこだわりは、料理そのものから、その周辺にまで及ぶようで……。

さっき紹介した名前入りのナイフ/フォークのセットじゃないけど、食について考える時、料理そのものだけじゃなくて、そのまわりにあるエッセンスやシチュエーション、あとバックグラウンドにあるストーリーにも想いを馳せると、食はもっと楽しくなると思うんです。

僕自身はワインについてそんなに詳しくないんですけど、以前、小山薫堂さんに「ワインは何が面白いんですか?」って訊いたら、「たとえば1本2万円のワインだったら、2万円なりのストーリーがある。どこの畑で誰が育てて、この年にこうなったことで出来た……そういうストーリーが高いワインにはある」っておっしゃってて。たしかに、食べ物にまつわるストーリーってあるんですよね。何十年続いた店がいよいよ来月閉まっちゃうっていう時の、何とも言えないありがたみも含めた美味しさとかね。たとえば、車で1時間ぐらい走った山奥にポツンと佇んでるひなびたうどん屋で食べるうどんと、受験勉強してる時にお母さんが夜食で作ってくれた冷凍うどんは、それぞれ違うものだけれど、どちらもそこにしかない価値があって。いろんなところに価値を見出しはじめると、何でも楽しくなってくるんです。
 

うどんと言えば、僕は讃岐うどんも大好きで。『ホ二人旅』というホフディラン2人だけの全国ツアーがあるんですが、その際に高松に僕らを呼んでくれる、Elementという雑貨屋さんの店主の藤澤さんという方がいて。彼は「必ずライブ前日とライブ翌日の朝は空けておいてください」って言うんです。で、自分の車で僕らをオススメのうどん屋に連れていってくれるんですよ。だから、ツアーにうどん屋めぐりがバッチリとパッケージされてるっていう(笑)。しかも、完璧なうどんツアーを組んでくれるんですよ! 車に乗るとDVDプレーヤーがセットされてて、まず香川のうどんを紹介するDVDを観させられる。うどん屋に行くまでの数十分、その前フリ映像で気持ちを高めるところからプランしてくれるんですよね。で、「3軒目はだしが美味しいお店なんで、その前にうどんのコシの強いお店に立ち寄ろうと思うので、1軒目はトッピングが多いお店に行きましょう」みたいな感じで、コースを作ってくれて。なのでお腹だけは空けておいて、他はすべて委ねてうどんツアーに挑んでますね。だから香川に滞在している時は、うどんだけで5、6食は食べたりしてますかね。それでも最後、東京に帰る前に、自分で選んだうどん屋に寄ったりしますからね(笑)。
 

大の大人がすごい田舎にある店まで、わざわざうどんを食べに行くって、アミューズメントパークみたいな楽しさもありますからね。久々にのんびりしてるなって感じる、すごく贅沢な時間ですよね。それに、いろんなお店のうどんを、30分とか1時間おきに食べ比べるから、さすがに店ごとの違いがわかる。うどんにさほど興味を持ってないって人でもガラッと印象変わったりするから、讃岐うどん屋めぐりは、みんな一回は行ったほうがいいと思いますね。