発売から40年、愛され続けて来た『冷凍うどん』にちなんで太く長く愛され続ける各界の著名人の皆さんに<愛される秘訣>を教えていただきます!

料理をもっと高みに持っていきたいという想いから、僕は食べ歩く仕事を全部辞めて、5年前に若手の育成に取り組む店を開きました。そこである程度、自分のやれることをやった現在は一歩進んで、新しい店をオープンすることにしました。ジャンルにこだわらず、だからといってなんでもアリじゃなく、目の前にある最高の食材を最小限の手数で、しかもどこにもない料理に仕立てるか。シンプル&オリジナリティな料理を目指して、その準備をしているところです。食って、正解がないものなんですよね。だけど、僕はあらゆる料理に対して、絶対にブレない芯があるし、自分の理論を持ってる。その正解のない問題に、自分の理論で第三者を納得させられる自信がある。僕が、食の世界に身を置いてる意味、そういうことかなって思うんです。

10年前に初めて本を書いた時は、出版したことが終着点だと思ってたんですが、今思えばほんの序章でしかなかった。それから、若手育成のレストランを開いたんですが、そこもまた終着点かと思ったら違って。それは、食べることから作ることへのはじまりでしかなくて。若手育成の店を閉めて、次のステップにすすむ、本当のスタートが現在だと思ってます。自然と進んできたけど、これは辿ってこなければいけなかった道だし、僕が本当にやりたいのはここからなんです。

ストイックに、食の未来を追究している来栖さんですが、
日常はどんな食生活を送られているんでしょうか?

食べ歩きをしなくなってから、わざわざ店を予約して外食するということは少なくなりました。僕、食べないものって、何もないんですよ。それこそファストフードもインスタント食品も食べるし、立ち食いそば屋さんだってよく行きます。

もともと高級店の紹介なんかもよく書いてきましたけど、同じような仕事をされている方の中には、ハナから庶民的な料理をよく言わない人もいるんですよね。たとえば僕は、ラーメン屋のラーメンとカップラーメンとか、高級なお寿司屋さんと回転寿司を一緒に考えてないんですよね。回転寿司というものの中で〈美味しい回転寿司〉を食べているわけで。そこを理解できない人たちは頭が固いなって思うんです。

僕、基本的に、麺類が大好きで。うどんについて言えば、麺の種類は全般的に好きなんだけど、だしには結構好みがあって。あっさりなんだけど、醤油の風味もしっかりあって、だけど甘すぎないものが好きですね。讃岐うどんも、昔はよく食べ歩きしましたよ。うどん自体の粉の美味さをすごく感じられるお店もありますからね。ラーメンより、うどんやそばのほうが麺自体の美味しさを重要視されるような気がしますね。そういった意味でも、美味しいうどんを作るってことは本当に大変だと思いますね。

それに、やっぱり夜って麺類食べたくなりません? そんな時に、もちろん冷凍うどんも食べます。ただ、僕はそもそも出来合いのだしとか麺つゆとか、一切使わないんですよ。うどんに限らず簡単な料理でも、全部イチから作るんです。作り置きしたつゆを冷凍庫にストックしておいて、それを使って冷凍うどんを食べることはありますね。あまりアレンジせず、薬味入れるぐらいのシンプルな感じで食べることが多いですね。やっぱりアレンジするなら、イチから作っちゃう(笑)。

それにしても、冷凍食品の技術進化は相当スゴイ! テーブルマークさんも、冷凍うどんを発売してから40年になるんですよね。40年続くって、美味しさはもちろん、消費者に受け入れられないと続かないわけですから。冷凍うどんっていうジャンルに特化してやってる人たちには、やっぱり勝てないですよね。