「秋の虫と草花」

光溢れる東京でも、秋になると虫の声を聴くことができます。ここで風情を感じるのは日本人ならではの感覚とか。不思議なことに西洋人は虫の声が雑音にしか聞こえないともいいます。平安時代には鳴く虫を籠に入れて声を愉しむのが貴族たちのあいだで流行しました。江戸時代には虫売りも登場し、籠も扇形や船形など凝った形のものを使ったそう。
秋の七草を愛でることもおすすめします。萩、すすき、桔梗(ききょう)、撫子(なでしこ)、葛(くず)、藤袴(ふじばかま)、女郎花(おみなえし)、全てを揃えなくても、日本の秋の草花を飾ることで秋の気配を感じます。春の七草は食べることで季節を感じるのに対し、秋の七草は飾ることで季節を感じます。虫の声や秋の草花で季節を鑑賞するのが古来よりの風習なのです。

盆を過ぎたのに「おわら風の盆」

富山で催される「おわら風の盆」は毎年多くの観光客も訪れる人気の祭りです。9月1日から3日まで、三味線、太鼓、胡弓の独特な調べにのって、無言で踊ります。ゆらめく灯りのもと、哀愁漂う踊りは観る人を魅了します。9月1日は旧暦の八月朔日(ついたち)。風の厄日とされていたため、風を鎮め、稲を風の被害から守る「風祭り」が「風の盆」に風習化したといわれています。

ごはんレシピ

旬の食材 【すだち】

ほどよい酸味、小さな緑色の柑橘系のすだち。かぼすと間違える人もいるかもしれませんが、かぼすより小さく、果皮の香りも強いのが特徴です。ハウス栽培と露地栽培のものがありますが、旬の露地栽培のものは香りや風味が強く、果汁もたっぷりです。ビタミンCがレモンより多いのもうれしい特長。半分にカットして搾ってお酢の代わりに、水洗いして皮をおろし金ですりおろして薬味に、薄くスライスして飲み物や汁物に添えたりと、さまざまな味わい方ができます。保存するときはビニール袋に入れ、空気を抜き冷蔵庫に入れておくと緑色が長持ちし風味を損ないません。長期保存したい場合は、搾汁して小瓶に入れて冷蔵庫で保存します。

サーモンとチーズのすだち寿司

すだちの果汁と果実を使った手まり寿司。
残暑も消え去るような涼やかな香りです。

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