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ごっつ○○なもの

ごっつ無駄なもの

著名人の方々に「ごっつ◯◯なもの」をお聞きする本企画。第四回目のゲストは、三戸なつめさん。「ごっつ○○なもの」に選んだのは、絵本『100万回生きたねこ』。モデル・タレント・俳優などマルチに活動される三戸なつめさんの人生に大きな影響を与えた「ごっつ考えさせられたもの」です。

今回選ばれた『100万回生きたねこ』をはじめて読んだのはいつ頃だったのでしょうか。

小さい頃から絵本が好きで、この本はたぶん図書館で読んだのが最初。高校を卒業するあたりで絵本に興味を持ちはじめて、いろいろ読んで勉強しようと思ったとき、みんなから名作だとオススメされたことをきっかけに改めて読みました。

本作のどこに「ごっつ考えさせられた」のでしょうか。

自分のために生きるのも大事だけど、人のために生きるのはもっと大事なんだというのを考えさせられました。
いろんなところで飼われて人を愛することなく何度も死んでいた猫が、最後は自分が愛した猫と子どもを亡くして悲しみに暮れて死んでしまう。自分が守りたいと思ったものや誰かを愛することをまっとうしたら悔いが残ることなく死ねるんだなぁとすごく感動しました。
死ぬ瞬間ってたぶん何も考えられないかもしれないですけど……人生をまっとうしたって思えるような死に方ってどういうものなのだろうと思います。

絵本の影響があるとはいえ、10代後半で死について考えることってなかなかないですよね。

死については、小学校低学年のときから考えていました。きっかけはテレビで観た「ドラゴンボール」。フリーザがクリリンのことを木っ端微塵にしたシーンがすごく怖かったんです。人ってこんなに一瞬で死ぬんだ。跡形もなくなったら、自分の感情もプチッと断ち切れるんだろうなと思って。
そこから人間はいつか死ぬ。なぜ生きてるのか、もしかしたら自分はイラストで体が黒い線で縁取りされているんじゃないか、と深く考え込んでしまい、結構長い間怯えていましたね。

そんな早くから死生観にたどり着くとは! この絵本で三戸さんが好きなシーンはございますか?

船乗りの猫だったときの絵が好きです。人もたくさんいて、色もカラフル。猫がポツンといる感じもいいですね。
あとはサーカスの猫が印象的です。はじめて読んだとき、真っ二つになってしまったというのを見て、絵本で結構グロいことを書くなと思いました。
クリリンのときもそうですけど、なんでも自分に置き換えてしまうクセがあって。もし何かで切られて真っ二つになったらどういう感触なんだろうか。痛いのはわかるけど、半分までは意識があるのかなとか、走馬灯はどれくらいで流れてくるのかとか。実際はスパーンと切れるはずですけど、そのスパーンの間の何秒かで、痛いとか怖いとか、助けてとか、あ、死ぬとか(笑)。どう思うのかなぁって考えてしまいますね。

三戸さんは『ムム』という絵本を2冊描かれていて、絵本作家としての顔もお持ちです。『100万回生きたねこ』の全体のストーリーを見てどういう印象を持たれましたか。

「猫は、もう『俺は、100万回も・・・・』とは、決して言いませんでした。」という一文が印象深いです。
不幸自慢ってついつい無意識に言ってしまうことがあると思うんです。もし自分がこの猫だったら、サーカスで真っ二つにされたりもしたけど俺は100万回生き返ったと言えば、ちょっとは同情して好きになってもらえるんじゃないかって考えますよね。
でも猫は、白猫に愛してもらいたいからこそ同情心みたいなものはいらなかったんだと思います。だから、くるくる回ったりして白猫を楽しませようとしたんでしょうね。

猫は白猫に愛を求めるだけではなく、自分から愛する側にまわることで思いを伝えようとしたのでしょうか。

そうだと思います。それまでずっとやる気がなさそうにダラ~ンと生きて憎しみながら死んでいたような猫が、白猫を愛することでようやく成長できたんだなぁと感動しました。
思春期のときって、妬みや恨みから簡単に人のことを嫌いになっていたなと思って。それよりも、人のことを受け入れたり、好きな人ができたら愛する方がいい。
自分のためにやっていると、うまくいかなかったら人のせいにしてしまうし、ちょっと憎んでしまっていたと思うんです。誰かのためにがんばることは、自分をすごく成長させてくれるし、気持ちも穏やかになります。29年生きてきた経験を重ねながら、絵本を読んでいて感じましたね。

学生時代からこの絵本を読まれてきた三戸さんが、今ではモデルやタレント、舞台で誰かのために活動されているのですから人生っておもしろいですね。

お客さんのためにやっていることが、結果的に自分のためになっていたりすると感じています。お客さんにもそれぞれの生活があって、感情があるわけじゃないですか。そこに寄り添っていくのはむずかしい。
大勢の人にどうやったら感動してもらえるかな、明日の糧になれるかなって考えながら、創作活動をしていますけど、結局、あ〜わかんないや、って(笑)。自分の好きなように、感じるままに表現していても、ホントにこれでいいのかなぁと毎日自問自答しています。
そんなときはこういう本を読んで、誰かのために、ファンのために、ということを少しでも心の隅に置く。そうすれば表現が変わってくるかなと、改めて思い出しています。

まだまだこの絵本にお世話になりそうですね?

はい。たぶん、おばあちゃんになっても読める本。年をとればとるほど、自分の考え方も変わってくるでしょうし、環境によっても変わるはず。きっといつ読んでも刺さる部分がある絵本だと思うので、ずっと読んでいきたいです。

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