世界中の誰もまだ知らない
10000分の1の「おいしさ」を探る。
研究開発部
K.A
2008年入社
世界中の誰もまだ知らない
10000分の1の「おいしさ」を探る。
研究開発部
2008年入社
10000分の1。それが、奇跡の酵母を見出す確率だ。
「おいしさ」のかぎとなる奇跡の酵母。1年間毎日実験を繰り返して、やっと1つ出会えるかどうか。そのくらい発見が困難な酵母を彼が見出したのは、入社1年目の冬のことだった。度重なるスクリーニング法と培養法の検討を経て、目的に合致しそうな候補株を選抜する。次いで、選抜した候補株を評価し、求める味・香りに合致した酵母を見出す。評価の際に頼りになるのは、分析・検査機器がはじき出す数値がすべてではない。
「機械だけでは、求める味・香りは測りきれません。必ず自分の舌・目・鼻をつかって、総合的に評価します。」
“いい酵母”が見つかるまでは、スクリーニング法と培養法の工夫、その繰り返しだ。彼の発見は、1年近く、粘り強く実験を続けてきた成果だった。
「大変なのは、これからですよ。」
入社4年目の現在、彼は自分が見出した酵母をもとに、酵母エキスの商品化を目指し、製造試験を行っている。
「食品開発センター(羽田)での実験は、いわば机上試験。これをスケールアップして工場に落としこみ、安定生産に結びつけて商品化につなげることができるか。ここがポイントなんです。」
このミッションに取り組むため、彼は現在、東京とタイを年に数回行き来をしている。タイの製造工場は、その製造設備の大きさゆえに、実験室よりはるかに高い、多くのハードルがある。その状況下において、ハードルを1つ1つクリアーしながら、いかに安価で効率よく、目的とする酵母エキスを製造するか。課題は尽きないが、彼はそこに醍醐味があると言う。さらに、言葉の壁を越えた現地スタッフとの連携も必要だ。彼は指示を出すだけではなく、自ら現場にへばりつき、積極的にコミュニケーションを図った。限られた出張の間、知らず知らずのうちにスタッフとの信頼関係も築けていた。
「今やっと第1フェーズの終わりが見えてきたところ、この次は第2フェーズです。」
商品化が実現したら、彼の発見から生まれた酵母エキスは、世界初になるかもしれない。
「同じような研究を進める世界中の研究者たちに先を越されないために、1日でも早く商品化にこぎつけたいですね。」
彼は今、世界中の研究者を意識して奮闘している。
うちの会社は、年次に関係なく意見を言いやすい雰囲気で、社員の主体性を尊重してくれる文化が根付いています。私の所属する研究開発部でも、早いうちから責任ある仕事を任せてもらえるので、働いていて充実感があります。これからは、部署が有している微生物利用に関する知見や技術をさらに発展させていくことで、会社に貢献していきたいですね。私の取り組みが、新商品や新規事業のシーズとなればと考えています。